設計および使用上の注意事項

その他の事故例の解説とその対策

1.接触腐食

銅と鋼または、銅とステンレス鋼とを直接接合すると、そこに異種金属の電位差による接触腐食(Galvanic Attack)が生じることが考えられます。
しかし、水道水または水道水と同程度の水質の淡水中においては、銅管と鋼管またはスレンレス鋼管を直接接合しても、使用上問題になるような接触腐食は確認されておらず、NJT技術開発研究所の実験でも実用上支障が生じるような問題点はないことが確認されています。
銅とほぼ同じ電位を持つ黄銅(成分の約85%が銅)製ネジ込みバルブ類と鋼管を接続し、水道水を通した場合にも接触腐食事故が生じていないことからも、銅管と鋼管では、淡水を通した場合には接触腐食の心配がないことがわかります。

2.排水用銅管の腐食

排水用銅管は、浴室、洗面および流しなどの雑用水とトイレからの汚水排水用に使用されています。
事故例は少なく、
①小便ユニット内の小便器よりの汚水横走り管の下面内側からの腐食や、立管の一部腐食および
②高層階の厨房排水立管の全面的腐食の2例です。
それぞれの原因および対策は以下の通りです。
①小便配管にのみ腐食が起き、大便配管にまったく起きていないのは、洗浄に関係が疑われます。対策としては、腐食性の少ない洗浄用薬品を使用し、洗浄および用便後十分に水で洗い流すことが有効です。
②厨房排水の場合は、洗浄用薬品がほぼpH1程度の強酸が大量に使用されたとみられるので、腐食性の少ない洗浄用薬品を使用し、洗浄後十分に水で洗い流すことが重要です。

3.凍結割れ

冬期における給水配管の凍結割れは、とくに寒冷地において大きな問題です。配管材料の耐凍結割れ性は、低温での伸びが大きく、加工硬化の大きい材料ほどすぐれ、軟質銅管は鋼管、鉛管などよりすぐれていることがわかります。
しかし、いかなる配管材料でも完全な耐凍結割れ性は期待できませんので、凍結防止策として以下のような対策が必要です。
①水抜きを行なう 
②常時水を流しておく 
③保温材を20~40mm巻く 
④凍結防止弁をつける 
⑤通電により発熱する凍結防止テープを巻く 
⑥配管系に銅管に適した不凍液を入れる(飲料水系では適用不可)

各種配管材料の凍結割れ試験結果(抄録)

材質別 寸法(mm) 試験後の
機械的性質
割れ発生
までの
凍結繰返数
加工
硬化
係数
外径 肉厚 引張強さ
(N/mm²)
耐力
(N/mm²)
伸び(%)
軟質銅管 15.0 0.85 245 49 51 5 0.4
硬質銅管 15.0 0.85 431 - 9 1 0.1
鋼管 21.7 2.8 392 255 40 2 0.2
鉛管 19.8 3.4 - - - 3 0.02
硬質塩ビ管 18.0 2.5 - - - 1 -

4.施工不良

施工不良の中で多いのは、ろう接(はんだ付、ろう付)不良とフラックスの塗りすぎによる腐食漏洩事故です。

(1)ろう接不良
ろう接不良の多くは、工事現場で行われる水圧試験などで発見されますが、水圧試験などでは、かろうじて漏洩せず、温水通水後に漏洩することもあります。
ろう付不良による漏洩事故から主な原因をあげると以下の通りです。
①管端および継手内面の前処理(切断、管端修正、みがき、フラックス塗布など)の不良。
②加熱しすぎによるフラックスが炭化(活性作用の消滅)による「ろう材の充填不足」。
③加熱が不均一またはろう接状態不備(一部が床や壁についていた)により、加熱不足部(冷壁)ができ、ろう材が回らない部分があった。
④大規模なろう不充填部があった。
フラックス(液状)を接合部に多量に塗布しすぎると、正確に挿入、加熱を行なっても、銅管と継手とのすき間内圧力が高くなり、一部ろう材が回りきらないうちにフィレット(銅管と継手端部にできるすき間にろう材がまわった状態)ができ、一見ろう接がよくできたように思えることがあります。
しかし内部でろう材が回っていない部分が大きいと、通水後フィレットの一部がはがれ漏洩事故を起こす場合があります。
フラックスは適量を塗ることが必要です。
⑤ボイドの形成。
ボイドとは、接合部の円形やだ円形状のろう材が回らない部分をいい、ボイドが大きくなると漏洩事故を起こす場合があります。 漏洩事故防止対策としては、管端および継手部の接合前処理を十分に行ない、適正なフラックスの塗布、および加熱温度管理を行なうことが必要です。

(2)フラックスの塗りすぎによる腐食
フラックスは、銅管および銅管継手を腐食させる作用もあり、配管内に多量に残り、長時間通水などが行われないと腐食が進み、穴あき事故につながることもあり、注意が必要です。フラックスは水溶性のため、水で速やかに洗い流して除去すれば、内面の腐食を防止できます。
外面はぬれ雑巾でふきとります。