設計および使用上の注意事項

腐食事例と対策の要点

①循環給湯銅管の給湯水側からの腐食事例と対策の要点

腐食事例 発生要因、環境など 対策
潰食 ①機械的な要因
 ● 給湯水中に溶解した溶存空気は、圧力変動により微細気泡となり保護皮膜を破壊
 ● 揚程の大きな循環ポンプ使用で圧力変動を助長
 ● 密閉式膨張タンクの採用による溶存空気の排出能力激減
 ● 流速、管の曲り、流路の断面形状変化、気泡の混入など、流速の過大、激しい水流の乱れ

②化学的な要因
 ● pH、炭酸成分、陰イオンおよび塩成分の飽和度
 ● 温度の上昇、pHの低下が潰食発生を助長
①溶存空気の低減方法
 ● 開放型貯湯槽の採用
 ● 開放式脱気機や、適正な位置に気水分離器を設置
 ● 開放式膨張管の採用
 ● 低揚程循環ポンプの採用(揚程5m)
 ● バルブの半開状態を避ける
 ● 基本流速は1.5m/s以内に抑える

②地下水の遊離炭酸の低減
 ● 受水槽でシャワーリングと、強制換気を併用
 (遊離炭酸の低減によるpH上昇)
 ● pHの低い水はアルカリ添加により中和する
Ⅱ型孔食 ①水質的な要因
 ● 重炭酸イオンに比べて、硫酸イオンが多く、さらに残留塩素濃度が高い場合
 ● 重炭酸イオンに比べて、硫酸イオンが多く、さらに溶解性シリカが多い場合
 ● 遊離炭酸を含んだ水を使用している場合
①残留塩素、遊離炭酸の低減
 ● 開放型貯湯槽の採用
 ● 開放式脱気機の設置

②地下水の遊離炭酸の低減
 ● 開放式脱気機の設置
 ● 受水槽でシャワーリングと、強制換気を併用
  (遊離炭酸の低減によるpH上昇)
 ● 遊離炭酸は河川水を処理した上水程度(6ppm)まで減少させる

②給水、一過式給湯銅管、空調機銅管の水側から発生する腐食事例

腐食事例 発生要因、環境など 対策
Ⅰ型孔食 ①給水管、一過式の給湯銅管
 ● 遊離炭酸の多い低pHの地下水
 ● pHがやや低い水、硬度は高くない地下水

②空調用のファンコイルやエアハンドリング用銅管、冷凍機用伝熱管
 ● 開放系蓄熱槽を使用した環境
・コンクリート製蓄熱槽からの溶出成分によりpH8前後まで上昇
・主管の亜鉛メッキ鋼管から溶出した腐食生成物である水中微粒子
・水処理剤【例えば、重合りん酸塩系防錆剤】
・銅管内面の残留カーボン
①給水管、一過式の給湯銅管
 ● 戸建住宅ではSTC銅管を使用する
 ● 集合住宅の場合、受水槽でシャワーリングと、強制換気を併用し、遊離炭酸の低減によるpHを上昇させる
  あるいはSTC銅管を使用する

②空調用のファンコイルやエアハンドリング用銅管、冷凍機用伝熱管
 ● 低残留カーボン銅管CLT(旧スミガード)を使用する
 ● STC銅管を使用する
マウンドレス型孔食 ● 給水用や一過式の給湯銅管で発生
● Ⅱ型孔食発生傾向の水で、シリカ濃度の高い水で発生しやすい特長がありますが、それ以外の要因が明確ではあ りません
 発生地域が明らかになっていますので、問い合わせください
● 内面にスズをコーティングしたSTC銅管やCTシャット※を使用する
※注 NJT銅管の建築用耐食性銅管(北海道地区限定)
銅イオンの溶出 ● pHが低く(6.5以下要対策)、遊離炭酸が多い水の場合に溶出量が多い ● STC銅管を使用する
● pHの低い水はアルカリ添加(水処理メーカに相談)により中和する

③その他の腐食事例と対策の要点

腐食事例 発生要因、環境など 対策
疲労割れ ● 使用時と非使用時に熱膨張に起因する伸縮を繰り返し、応力が局部に集中すると生じる
● 局部応力が生じやすい部位
 曲り部、接合部近傍、局部的な凹み部、交差配管部
● コンクリート埋設部の曲り部でのクッション材(10mm厚×30倍発泡の発泡ポリエチレンなど)を施工する
● 振幅30mm程度の蛇行配管や交差部浮上り防止治具を用い施工する
● 配管時に局部的の凹みを付けない
蟻の巣状腐食 ● 蟻酸や酢酸などの有機酸、アルデヒド、フッ酸などの腐食媒 によって生じる
● 塩素系有機溶剤、アルコールを使用した酸化防止スプレーおよび一部の揮発性潤滑油などが分解して上記の腐食媒を生成する
● 分解して有機酸などを生じるような揮発性潤滑油を使用しない
● 有機酸などを生じる環境で使用しない
● 有機酸などを生じる環境で使用する場合、銅管との接触を遮断する措置を講ずる
応力腐食割れ ● アンモニアを含む環境、あるいはさらに硝酸イオン、亜硝酸イオンが共存する環境で生じる
● 発泡被覆材がアンモニアを含む場合、あるいはジュート、 グラスウールや発泡スチロールなどの保温材で被覆され、 シンダーコンクリートや発泡コンクリートの中に埋設された配管で、しかも外面側が湿潤になった場合(浴室や厨房 の下)などにその例をみる
● アンモニアを含む環境、さらに硝酸イオンや亜硝酸イオンが存在する環境を避ける
● 被覆材を完全なものにし、湿潤になる環境に銅管を埋設しない
● 湿潤になる環境に埋設する場合は十分な防水処置を施す
● 環境側の危険性を除去できない場合は低りん脱酸銅や無酸素銅を使用する
外面腐食 ● 埋設銅管の外面が湿潤になると保温剤(ジュート、グラスウールやフェルト)からの溶出成分で腐食する ● 防水処置を施す
フラックスの塗り過ぎによる腐食 ● フラックスは、銅管および銅管継手を腐食させる作用もあり、それが接合時に配管内に多量に残り、長時間通水などが行われないと腐食が進み、穴あき事故につながることがある ● フラックスは水溶性のため、接合後早い時期に水で洗い流し除去する。外面はぬれ雑巾でふきとる